国際シンポジウム「A/R/P 2021」に参加します。
東京芸術大学大学院国際芸術創造研究科が主催する、アートとリサーチの実践的交錯点を考える国際シンポジウム「A/R/P 2021」で発表します。
ウェブサイト:https://arp.geidai.ac.jp/
【日時】
2021年10月2日 13:15-14:45
Session 3:Artistic Fieldwork
【発表内容】
澤崎賢一「暮らしのモンタージュ:フィールド研究の余白」
【アブストラクト】
アーティスト/映像作家として活動している澤崎は、映像メディアを活かした学際的活用の基盤となるプラットフォーム「暮らしのモンタージュ」(https://livingmontage.com)を企画・運営している。主にアジア・アフリカでフィールド調査を行う人類学者や農学者らの協力のもと、彼ら研究者の活動を記録した映像制作を行い、彼らの主たる研究内容だけでなく、そこでこぼれ落ちてしまう「余白」的なものも含めて、映像メディアの使い方を工夫した独自の創造性を追求している。
「言語表現を超えた何ものか」を記録する映像メディアの特徴を活かし、独自に検討した「〈あいだのまなざし〉から生まれる方法」によって制作されたのが、映像作品『#まなざしのかたち』(124分、2021年制作、未公開)である。本作は、農学者・田中樹と文化人類学者・清水貴夫の調査地における様々な人間活動を記録した映像を基にし、あえてはっきりとした物語や主題にまとまらないような断片的なことがらとして編集した可変的な映像作品である。
澤崎が扱う表現メディアは、映像を中心に、写真、インスタレーション、詩/散文、論文など多様で、表現空間も展覧会、映画館、ウェブ、研究会、学術誌など、領域横断的である。これら諸活動は、「芸術」や「学術」といった特定の領域に縛られない自由なもので、物理的にも思考的にも様々な領域を「移動する」ことの中に「暮らし」と映像作品との緊張関係を捉えようとするものである。
本発表では、アーティスト/映像作家として活躍する澤崎が、フィールド研究者の体験がもつ価値に新しい視座を与える自身の手法について紹介する。