KYOTO地球環境の殿堂 関連イベント「動いている庭/対話」
■日時/会場
日時:2023年11月5日(日)10:00-15:30
会場:総合地球環境学研究所 講演室
〒603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山457-4
企画:阿部健一(総合地球環境学研究所)
澤崎賢一(総合地球環境学研究所)
エマニュエル・マレス(京都産業大学)
主催:総合地球環境学研究所
後援:京都府、京都市
協力:京都産業大学
■イベント掲載ページ
https://www.chikyu.ac.jp/rihn/events/detail/143/
■申し込みフォーム(事前申し込み制)
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe9zH-uDFqjh5ktLCp0Ok4CvgcCvmb35PPaY0bawydEYCHqZg/viewform
■イベント概要
地球環境の保全に多大な貢献をした方の功績を称える「KYOTO地球環境の殿堂」の第14回殿堂入り者にフランスの庭師ジル・クレマンが決まりました。クレマンは、「動いている庭」という新しい庭の管理を初めて公共空間に適用した庭師で、ランドスケープ・デザイナー、植物学者、昆虫学者、小説家など、数多くの肩書きをあわせ持つ人です。今回は、「KYOTO地球環境の殿堂」の関連イベントとして、「動いている庭/対話」を総合地球環境学研究所にて開催します。このイベントでは、クレマンの活動を記録したドキュメンタリー映画『動いている庭』(85分、2016年)の上映と、同作の監督である澤崎賢一と出演者のエマニュエル・マレスが約8年ぶりにクレマンの自宅の庭を訪れ、記録した映像をご紹介しながら、新たな実験的手法を用いて、参加者の皆さんと対話する機会を設けたいと思います。
■プログラム
■午前の部 「動いている庭」上映会
10:00~10:05 「冒頭の挨拶」エマニュエル・マレス(京都産業大学)
10:05~11:30 ドキュメンタリー映画『動いている庭』上映
11:45~12:15 レクチャー「ジル・クレマンがくれたもの—庭の思想とその実践」山内朋樹(京都教育大学)
(12:15〜13:15 昼食)
■午後の部 「動いている対話」哲学対話×メタ映画
13:15~13:20 「冒頭の説明」澤崎賢一(総合地球環境学研究所)
13:20~13:50 記録映像の上映(タイトル未定)
14:00~15:30 哲学対話(映像撮影)
ファシリテーター:阿部健一(総合地球環境学研究所)、澤崎賢一、エマニュエル・マレス
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■イベントの詳細
・映画『動いている庭』(85分, 2016)とは?
出演:ジル・クレマン、エマニュエル・マレス、山内 朋樹
監督・撮影・編集・製作:澤崎 賢一
映画の概要:できるだけあわせて、なるべく逆らわない― これは、クレマンの庭師としての基本的な態度である。この言葉にそってつくられた本作は、日本各地を訪問するクレマンと、彼の自宅での一日を記録した民族誌的な映像である。クレマンとの交流をロングショットで撮影する中で、撮影者がカメラになり、そしてそのまなざしを通して撮影者は被写体と呼吸とリズムを同調させる。呼応するように、クレマンもまた新しい輝きを持った存在となるだろう。
・レクチャー「ジル・クレマンがくれたもの——庭の思想とその実践」の概要(山内朋樹)
ジル・クレマンの「動いている庭」「地球という庭」「第三風景」はぼくたちの庭や地球環境や風景を見る目を変えてしまいました。彼の思想と実践について短いレクチャーをおこない、その意味と射程を見定めます。
・午後の部の説明
クレマンの自宅で撮影した映像をきっかけにして、本日は実験的な手法を用いた参加者の皆さんとの対話を試みたいと思います。その手法に関わるキーワードは「哲学対話*1」と「メタ映画*2」です。哲学対話とは、哲学的なテーマについて、参加したひとと一緒に考えて、対話することです。メタ映画とは、映像を見た鑑賞者のフィードバックを映画のコンテンツに入れ込んだ映画制作のことです。
今回のイベントで行いたいことをもう少しわかりやすく説明します。まず、みんなでクレマンの映像を鑑賞しながら何でも思いついたことを話し、その対話の様子を映像で記録します。その対話の記録から印象的な言葉を拾い上げて、本日鑑賞する映像にそれらの言葉をナレーションとして乗せて、再編集する。そうして完成したメタ映画は、後日改めて上映会などで公開予定です。
なぜこうした試みを行いたいのか。それは、「クレマンを知る」ことを着地地点とするのではなく、クレマンから私たちが何かを感じ取り、その感じたことをまた別様に伝え広げていくためのきっかけを生み出したいからです。植物たちと同じく私たちも変化のただなかにあり、常に動いている。その躍動感に溢れる静かな変化を捉え、さらにダイナミックな動きへと繋いでいく。「動いている庭」になぞらえて、私たちはこうした一連の取り組みを「動いている対話」と呼びたい。
*1 哲学対話
哲学者の梶谷真司(東京大学)は、著作『考えるとはどういうことか』(2018)の中で、哲学対話に8つのルールを設けている。
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/diversityresearch05.html
1.何を言ってもいい。
2.人の言うことに対して否定的な態度をとらない。
3.発言せず、ただ聞いているだけでもいい。
4.お互いに問いかけるようにする。
5.知識ではなく、自分の経験にそくして話す。
6.話がまとまらなくてもいい。
7.意見が変わってもいい。
8.分からなくなってもいい。
*2 メタ映画
本イベントの企画者のひとりである映像作家の澤崎が、「映像を見る」という行為が生み出す創造性に着目し、近年提唱している映画制作。この手法を用いた作品に、映画『#まなざしのかたち』(監督:澤崎, 124分, 2021年, 国内外受賞多数)や映画『#まなざしのかたち ヤングムスリムの窓』(監督:澤崎, 43分30秒, 2023年)などがある。